
マーケティング同好会の川上あおいです。
今回は、フォルクスワーゲンのブランディング戦略を3つの要点に絞ってご紹介します!
1. 「原点」と「ストーリー」で揺るぎない土台を築く
フォルクスワーゲンは、創業時の「国民車」という原点から、「みんなのための車」という価値を一貫して提供し続けています。
▶︎DNAを体現するモデル


参照:https://sp.volkswagen.co.jp/brand-history/30s-40s/
「ビートル」や「ゴルフ」といった象徴的なモデルは、実用性と愛着というブランドのDNAを体現し、世代を超えた支持を獲得してきました。
▷欠点も魅力に変える広告


参照:https://vw-dealer.jp/blog/vw_edogawa/2023/01/post-215.html
「Think Small」や「Lemon」に代表される広告は、車の欠点を隠さずに個性として打ち出すことで、正直さとユーモアを伝え、人々の共感を生み出しました。
▶︎変わらない信頼と変わり続ける革新
ロゴデザインは、ブランドの核を保ちつつ時代に合わせて変化しています。
これにより、「変わらない信頼」と「変わり続ける革新」という二つの価値を両立させています。
2. 「変革」を「ブランド体験」として表現する
フォルクスワーゲンは、長期的なビジョンと具体的な戦略を通じて、ブランドの変革を体現しています。
▶︎新たなビジョンを掲げ、事業を展開!
「Mobility for Generations」という長期ビジョンを掲げ、電動化、自動運転、ソフトウェアを事業の中核に据えています。
高度な自動運転技術:運転の負担を軽減し、車内での時間をより自由に、そして有意義に活用できるようにすることを目指しています。 ソフトウェアの向上:車両の機能を常に最新の状態に保ち、個々のユーザーのニーズに合わせたカスタマイズや新しいサービスを提供するための基盤となります。 | 電動化:環境負荷の低減に貢献するだけでなく、静かでスムーズな移動体験や、新たな車両デザインの可能性を広げます。
▷サステナビリティ


参照:https://sp.volkswagen.co.jp/way-to-zero/
「Way to Zero」という目標のもと、2050年までにカーボンニュートラルを目指しています。
製造からサプライチェーン、リサイクルまで、すべての過程で最適化を推進しています。
▶︎プロダクトとメッセージの進化
「Das Auto」(ザ・カー、これぞ自動車の意)というスローガンを「Moving People Forward」(人々を前進させる)に変えたことで、フォルクスワーゲンは「モノ」から「人」へと、ブランドの中心を移しました。
これを体現しているのが、新しい時代の「みんなの車」として登場した、電気自動車の「ID.シリーズ」(ID.4、ID. Buzzなど)です。
3. 日々の接点で「好き」の総量を増やす
フォルクスワーゲンは、多様なメディアを活用し、顧客との接点を増やすことで、ブランドへの好意を育んでいます。
▶︎オウンドメディアでの見せ方


参照:https://www.volkswagen.co.jp/ja/magazine.html
「フォルクスワーゲンマガジン」では、開発秘話、ブランドの歴史、デザイン哲学、レビュー動画などを定期的に発信し、ブランドへの理解を深めてもらっています。
▷ローカルな発信


参照:https://www.vw-dealer.jp/blog/vw_edogawa/2024/04/id4-6.html
各ディーラーのスタッフブログでは、スタッフの個性や来店時の体験を可視化することで、来店へのハードルを下げ、親近感を高めています。
▶︎パーソナライズされたメルマガ


見込み顧客には、ブランドストーリーから始まり、商品の提案へと段階的に配信しています。
また、購入履歴や閲覧行動に基づいたパーソナライズを行うことで、開封率やクリック率を高め、顧客との関係を構築しています。
フォルクスワーゲンの戦略から学ぶ3つのステップ
今回の事例から、私たちの活動にも応用できる3つのステップをご紹介します。
ステップ2:物語を語る ステップ3:一貫した運用を徹底する | ステップ1:原点を明確にする
ステップ1:原点を明確にする
「誰のために、何を良くするのか」というブランドの存在意義を、一言で定義しましょう。
そして、「品質」や「誠実さ」といった不変の価値を、行動の基準に落とし込みます。
ステップ2:物語を語る
創業の想い、開発における苦労話、顧客の心に残る瞬間などをエピソードとして語りましょう。
また、欠点を個性として捉え、正直な姿勢で信頼を築くことも重要です。
ステップ3:一貫した運用を徹底する
ロゴ、ブランドのトーン、ウェブサイトのUI、店舗での接客、メールマガジンなど、すべての顧客接点で統一感を保ちましょう。
これにより、時代に合わせて変化しながらも、ブランドの核がブレていないことを示すことができます。
最後に、これらの戦略を実践するためのチェックリストを提示します。
\ チェックリスト /
・原点が明確に伝わっているか。
・プロダクトとメッセージに矛盾はないか。
・欠点を強みに変えられているか。
・段階的なメールマガジンの配信設計はできているか。
・オウンドメディア、店舗、広告のトーンは統一されているか。