「スペックは悪くないはずなのに、なぜか売れない……」
「競合調査をしているけれど、どこか視点がズレている気がする」
マーケティングで行き詰まったとき、突破口になるのが「ジョブ理論」です。
この記事では、ジョブ理論の基礎知識から、明日から使えるフレームワーク、驚きの大手企業の事例まで、どこよりもわかりやすく解説します。
この記事を読み終える頃には、今まで見えていなかった「真のライバル」と「顧客の本当の望み」がくっきりと見えてくるはずです。
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ジョブ理論とは

ジョブ理論を一言で表現すると「顧客はある目的を達成するために、製品やサービスを雇用している」という考え方です。
つまり商品を買うのは、その物自体が欲しいからではなく、抱えている問題を解決したいからなのです。
たとえば、最新のiPhone Proシリーズのような高性能カメラ付きスマホを購入するシーンを想像してみてください。
単に画質が良いからという理由だけでなく、その背景には写真のセンスがある人だと思われたいという、目的が隠れていたりします。
そう考えると、意外なライバルが見えてきて面白いんです!
もし目的がセンスを評価されることなら、必ずしも高価なカメラである必要はありません。
誰でもおしゃれな雰囲気を作れる加工アプリも立派な競合になりますよね。
最近、若者の間で画質の粗いガラケーが流行っているのも、実はノスタルジーでエモい質感の写真が撮れるという点が、センスを認められたいというジョブにぴったりハマっているからなんです!
スペックの高さとは真逆の方向ですが、解決したい目的は同じ。
こうした視点を持つと、今まで見えていなかった新しい競合の存在に気づけるようになります。
ここで少し整理しておきたいのが、よく耳にするニーズとの違いです。
似ているようで、実は全く別物なんです。
マーケティングの有名な格言に「ドリルを買いに来た人が欲しいのは、ドリルではなく『穴』である」という言葉があります!
| ~ニーズの視点~ ニーズ: 壁に穴を開けたい、高性能なドリルが欲しい メーカーの対策: もっと回転数を上げよう、もっと軽量化しようと、製品のスペック向上に走ります。 |
| ~ジョブ理論の視点~ ジョブ: お気に入りの絵画を飾って、殺風景なリビングを家族がくつろげる空間に変えたい メーカーの対策: 顧客が求めているのは空間の変化だと気づきます。 すると、ドリルだけでなく穴を開けないフックやデジタルフォトフレームも競合や解決策の選択肢に入ってきます。 |
ジョブ理論は、商品を買う前の悩みから、それを使い始めて生活がどう変わったかまでを、一つの物語として捉えるのが特徴です。
ニーズだけを追いかけると、どうしても機能の足し算になり、スペック競争に巻き込まれてしまいます。
しかし顧客は製品が欲しいのではなく、それを雇用することで今の自分をより良い状態にアップデートしたいと考えています。
ニーズが何が欲しいかという断片的な情報なら、ジョブはどんな状況で、どうなりたくて、そのために何を雇うかという、顧客の人生に寄り添ったストーリーです。
この違いを意識できるようになれば、顧客が本当に解決したい課題をズバッと突いた、ヒットの確信が持てる企画が生み出せるようになりますよ。
企業事例

ジョブ理論の考え方をさらにイメージしやすくするために、実際の企業事例を覗いてみましょう!
「顧客が何を考えてその商品を選んだのか」という裏側を知ることで、明日からの企画作りや分析のヒントがきっと見つかるはずです。
大手ファストフードチェーンのミルクシェイク
ジョブ理論の起源とも言える、最も有名なエピソードから紹介します。
誰もが知っているあの大手ファストフードチェーン!
かつてこの企業では、ミルクシェイクの売上を伸ばすために大規模な市場調査を行いました。
「30代男性」といった顧客属性に注目し、ターゲットが好みそうな味の濃さや、種類の豊富さを追求して改良を施したのです。
しかし期待に反して売上が伸びることはありませんでした。
そこで視点を変えて「顧客はどのような状況で、解決したいどんな課題のためにシェイクを雇っているのか?」という観察を行うことにしました。
徹底的に現場を観察した結果、意外な事実が判明します。
なんとシェイクの購入件数の約40%が早朝に集中していたのです。
購入者の多くは車で通勤するビジネスパーソンで、彼らは1人で来店し、テイクアウトして車内へ持ち込んでいました。
彼らが解決したかった課題は、単に喉を潤すことではありませんでした。
実は
| ・長時間の運転中、気を紛らわせたい ・運転中なので、片手で扱えて服を汚さずに済ませたい ・昼食までお腹がすかないようにしたい |
という切実なニーズが隠れていたのです。
この場合、顧客にとっての比較対象は他社のシェイクではありませんでした。
ライバルはバナナ、ベーグル、ドーナツといった朝食代わりの軽食だったのです。
しかし、これらには欠点がありました。
バナナはすぐに食べ終わってしまいますし、ベーグルはパサついて喉が渇きます。
ドーナツは手がベタついてハンドルが汚れてしまいますよね。
それらに比べシェイクは「片手で持てて、少しずつ飲めるので長く楽しめて、お腹も膨らむ」という、通勤の相棒として最高に優秀な条件を備えていたわけです!
顧客の置かれた状況にフォーカスしたことで、真の競合と選ばれる理由が浮き彫りになった事例です。
IKEA
クリステンセン教授は、家具店を選ぶ際にIKEAの名前が瞬時に浮かんできたエピソードを語っています。
| 私の息子のマイケルは、最近生活に生じた用事を片付けるために、イケアを雇った。 彼の経験を通して、私はイケアがこれほどの成功を収めている一因を理解した。 マイケルは大学生のふところに見合った生活を何年か送った後、別の年にある企業で働き始めようとしていた。 そして困って電話をかけてきたのだ。「父さん、明日アパートに引っ越すんだけど、家具がいるんだ。」 この瞬間、私たち2人の頭に、ある名前が同時に浮かんだ。イケアだ。 (「イノベーション・オブ・ライフ」より) |
「せっかく家具を買ったのに、届くのは2週間後……」というもどかしさを感じたことはありませんか?
従来の家具業界では、注文から配送まで数週間待つのが当たり前の常識でした。
しかしIKEAは顧客が抱える今すぐこの部屋を完成させて、生活を始めたいという課題に真正面から向き合いました。
IKEAは商品をその場で持ち帰れる組み立て式と、膨大な在庫をそのまま抱える巨大な倉庫型店舗を組み合わせることで、この待ち時間をゼロにしました。
自分で運んで組み立てる手間はありますが、その分今日中に部屋が片付くという価値を提供したのです。
その結果、家具を買う時の選択肢として、IKEAが圧倒的に選ばれやすくなっています。
安いからという理由だけでなく、今日中に部屋を完成させたいという特定の状況にある顧客にとって、IKEA以上にその用事を片付けてくれる存在がいないからですね。
ジョブ理論のフレームワーク
JOBSメソッド

ジョブ理論を実際の企画やマーケティングに活かそうとするとき、理屈ではわかっていても「どう整理すればいいんだろう?」と悩むことは多いですよね。
そんなときに役立つのがJOBSメソッドです。
これは顧客が抱える課題を4つの視点で整理するツールで、顧客の心の奥にある本音をあぶり出すのにとても効果的です!
| J(Job:ジョブ) | 顧客は何を成し遂げたい? |
| O(Objectives:目的) | それが達成されたら、どんな人生が待っている? |
| B(Barriers:障害) | なぜ今までそれができなかった? |
| S(Solutions:代替解決策) | 今はどんな方法でしのいでいる? |
特に意識したいのがジョブには「機能・情緒・社会」という3つの側面があるという点です。
| 側面 | 内容 | 例:高価なコーヒーメーカーを買う |
| 機能的ジョブ | 実用的な目的を達成したい | 美味しいコーヒーを自宅で飲みたい |
| 情緒的ジョブ | 特定の感情を味わいたい | 朝のひとときを優雅な気分で過ごしたい |
| 社会的ジョブ | 他人からこう見られたい | 遊びに来た友人に「こだわりのある人」と思われたい |
例)パーソナルジムへの入会
30代後半・デスクワーク中心の会社員のケース
| Job(ジョブ): 顧客が片付けたい用事 機能的:健康診断の結果を改善し、体脂肪を5%落としたい。 感情的:鏡を見るたびに落ち込むのをやめて、自分に自信を持ちたい。 社会的:同僚や友人に「最近シュッとしたね」と言われたい。 |
| Objectives(目的): 課題の背景にある真の目的 ・一生動ける体を作って、子供と一緒に全力で遊びたい ・自信を取り戻して、仕事でのプレゼンや対人関係でも堂々と振る舞えるようになりたい |
| Barriers(障害): ジョブの達成を邪魔しているもの ・仕事が忙しく、決まった時間にジムへ行くのが難しい(時間の制約) ・過去に自己流ダイエットで失敗しており、何が正しいか分からない(知識の欠如) ・一人だとつい自分を甘やかしてサボってしまう(意志の弱さ) |
| Solutions(代替解決策): 現在、顧客がジョブを解決するために使ってるもの ・YouTubeの宅トレ動画を見ながら動く(しかし、3日で飽きている) ・コンビニのサラダチキンを食べる(しかし、飲み会で台無しになる) ・着圧タイツなどの「楽な」グッズを試している。 |
このフレームワークを埋めていくと、攻めるべきポイントが自然と見えてきます!
現在の解決策で失敗している原因を、自社の商品・サービスでどう取り除くかを考えるのです。
| 「現在の解決策」と「原因である障害」のギャップを突く ・現在の解決策でなぜ失敗しているのか?その原因である障害を、自社の商品やサービスがどう取り除くかを考えます。 例:「意志が弱い」なら「24時間LINEサポートで食事を管理する」「友達が安く入会できるキャンペーン」など |
| メッセージに「機能」と「ベネフィット」を込める ・広告や提案書には、機能だけでなく、感情的・社会的なベネフィットを盛り込みます。 例:「痩せます」ではなく「鏡を見るのが楽しみになり、仕事もプライベートも前向きになれる体へ」と伝えます。 |
ジョブマップ

顧客が目的を達成しようとするとき、実はいくつものステップを踏んでいます。
その一連の流れを8つのフェーズに分けて見える化するのがジョブマップです。
ステップに沿って顧客の行動を追いかけることで、本人さえ気づいていない不満を見つけることができます。
| フェーズ | 意味・顧客の行動 |
| ① 定義 (Define) | ジョブの目標を決め、計画を立てる。何が必要かを判断する段階。 |
| ② 特定 (Locate) | 必要な情報、材料、ツールなどを探し出し、入手する段階。 |
| ③ 準備 (Prepare) | ジョブを開始するために、ツールや環境をセットアップする段階。 |
| ④ 実行 (Confirm) | 本来の目的である「メインの作業」を実際に行う段階。 |
| ⑤ 監視 (Monitor) | 実行中、期待通りに進んでいるか、不備がないかを確認する段階。 |
| ⑥ 調整 (Modify) | 監視の結果、うまくいっていない部分を修正・微調整する段階。 |
| ⑦ 完了 (Conclude) | 作業を終了させ、アウトプットを確定させる段階。 |
| ⑧ 準備 (Post-execute) | 完了後の片付けや、次のジョブに向けたデータの保存などを行う段階。 |
身近な電動歯ブラシを例に考えてみましょう。
実行フェーズである歯を磨くこと自体は電動で楽になりますが、顧客の行動をよく見ると、他にもストレスが隠れています。
| フェーズ | 顧客の具体的な行動 | 課題・不満(イノベーションのヒント) |
| ① 定義 | 今日の汚れ具合を把握し、どのくらい丁寧に磨くか決める。 | 自分の磨き残しがどこにあるか、客観的にわからない。 |
| ② 特定 | 歯ブラシ、歯磨き粉、フロスを準備する。 | 歯磨き粉が残り少なくなっていることに直前で気づく。 |
| ③ 準備 | 歯ブラシを濡らす、歯磨き粉を適量つける。 | 適量がどれくらいか曖昧。電動歯ブラシの充電が切れている。 |
| ④ 実行 | 実際に歯を磨く。 | 磨く力が強すぎて歯茎を傷めたり、逆に弱すぎたりする。 |
| ⑤ 監視 | 磨き残しがないか、鏡を見たり舌で触ったりして確認する。 | 奥歯の裏側など、本当に綺麗になったか自信が持てない。 |
| ⑥ 調整 | 磨き残しがある部分を再度磨き直す。 | 磨き直しの手間が面倒で、つい適当に切り上げてしまう。 |
| ⑦ 完了 | 口をゆすぎ、汚れが落ちたことを実感する。 | ゆすぎすぎて、せっかくの薬用成分まで流してしまう。 |
| ⑧ 準備 | 歯ブラシを洗い、乾燥させる。 | 水気が残って雑菌が繁殖するのが衛生的に気になる。 |
なぜ行動を分けるのか
多くの企業は実際に製品を使っているときの便利さばかりに目を向けがちです。
でも実は顧客が本当に面倒と感じているのは、使う前の準備や、使い終わった後の後片付けだったりします。
ジョブマップを使って工程を細分化することで、競合他社が見落としているアイデアのヒントを拾い上げることができるのが、この手法の大きな強みです。
| プロセスの短縮 ・特定のステップを自動化・不要にできないか?(例:準備の時間をゼロにする) ・2つ以上のステップを同時に終わらせることはできないか? ・顧客が調整や監視に費やしている時間を、サービス側で肩代わりできないか? |
こうした課題が見えてくれば、具体的な改善策もセットで浮かんできます。
| ・⑤監視への対策:磨き残しをスマホアプリでリアルタイムに可視化するセンサー付き電動歯ブラシ。 ・②特定への対策:歯磨き粉の残量を検知して、自動でAmazonに注文するスマートラック。 ・⑧準備への対策:置くだけで除菌・乾燥まで自動で行う充電スタンド。 |
自社製品がどのフェーズで顧客を助け、逆にどのフェーズで苦労をさせているのか…
このマップに当てはめて考えてみることで、鋭い切り口の改善案が見つかるはずです!
ジョブのインタビューのコツ

もし顧客に直接インタビューができる場合は、活用しない手はありません!
しかし…アンケートではジョブは見つかりません。
なぜなら顧客自身も自分のジョブを言語化できていないからです。
「なぜ買ったのか?」ではなく「買ったとき、買った後に何が起きたか?」を聞きましょう!
「なぜそれを買いましたか?」と聞くと顧客は「安かったから」「質が良いから」と後付けの理由を言いがちです。
代わりに「それを買う直前の数時間に、あなたの身に何が起きましたか?」と、シーンを再現するように状況を深掘りします。
その商品を買うために、何を辞めたのか(使わなくなったのか)を聞くと、真の競合が見えてきます!
まとめ

最後に、ジョブ理論の重要なポイントを振り返りましょう。
| ☆顧客はスペックを買うのではなく、自分の片付けたい用事(ジョブ)を解決するために商品を雇っている。 ☆断片的な欲しいもの(ニーズ)ではなく、どんな状況でどうなりたいかという背景に注目する。 ☆JOBSメソッドで顧客の本音をあぶり出しジョブマップで工程ごとの不満を見つけ出す! |
ジョブ理論をマスターすれば、価格競争やスペック競争から抜け出し、顧客の人生に寄り添った選ばれる商品・サービスを作ることができます!
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この記事のライター
宇都宮凛奈
コンビーズの公式XとYouTubeショートを担当しているりんりんです!
こんびーちゃんとお仕事をしたりおやつを食べてます。
ライターとしてまだまだ修行中!
いろんなデザインを見たり、空と海の写真を撮るのが趣味。

この記事の監修

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